《羽衣》の物語は、美しくて不思議で、そしていつもとても新しいのです。
この作品は1995年、「日本の物語を戯曲に」という、ロシア国立青少年アカデミー劇場からの申し入れで、国際共同制作の音楽劇として書いた脚本を元に再構成しています。
当時のロシアは、ソ連邦崩壊後の混乱と社会不安が渦巻き、日本もまたバブル崩壊後の不況のさ中。そんな二つの国を、いったいどんな物語が結び得るのだろう・・・?
模索するうち、ある日ふわりと「羽衣」のイメージが舞い降りてきて、それはまさに「羽衣」のごとく、地を這っていた私の想像力を高く高く飛翔させてくれたのでした。
《羽衣》って何?
考えれば考えるほど、不思議な物語ですが。
このたび、日本のお客さまのために新たな歌詞を加え脚本を整理する機会をいただいて、私は、この戯曲で《羽衣》を解釈したり説明したりしようとは、少しも望んでいない自分に気がつきました。
「不思議は不思議のままに。美しいものは美しいままに・・・」
何よりも、和楽器の音色の美しさと情感の豊かさは、圧倒的です。
どうぞぞんぶんに、三木稔先生と若い作曲家達の手になる美しい音楽に、耳を傾けお楽しみください。
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