『活動と役割』 |
■オーラJは、1998年に創立以来、年間2~3回の定期演奏会を開催してきた。
■定期演奏会以外でも、日本各地での公演活動の他、文化庁「本物の舞台芸術体験事業」に参加、2006年に創立された「北杜 国際音楽祭」の一角を担う演奏団体としての活動、また「全国現代邦楽合奏団コンヴェンション」を主催しつつ、アマチュア合奏団興隆へのホスト団体として重要な役割を果たしつつある。 ■世界の音楽を豊かにするために、邦楽器を基調に、アジアや西洋の楽器、及び声楽を含む作品を、日本人のみならず外国人作曲家にも精力的に委嘱。 ■邦楽・雅楽の流派を問わず、また、アジア人や西洋人であっても、日本の楽器でプロフェッショナルな演奏活動、作曲・研究活動を志す人なら、団員や研究生として歓迎している。 |
『沿革』 |
■ 1993年に日中韓三国の代表的民族楽団が提携して東北アジアの民族楽団が企画され、芸術監督に就任した三木稔が「オーケストラアジア」と命名し、先ず各国の民謡や民族音楽の編曲を主としたレパートリーを整備して、翌94年より3国巡演ツアーが始まった。日本の演奏者は、1997年に当初の日本音楽集団が撤退し、その一部と、オーディションによる新たな邦楽器奏者によって日本楽器セクションが結集された。 ■ そのメンバーを「オーケストラアジア・ジャパンアンサンブル」(略称オーラJ)と名づけ、独自の訓練と演奏活動を開始し、1998年9月3日、東京カザルスホールで第1回定期演奏会を行った。1999年1月25日には、三木稔作品を特集した東京都交響楽団定期演奏会(指揮:大友直人)で、《急の曲Symphony for Two Worlds》の邦楽器部分を受け持ちサントリーホールにデビュー。 ■ 2000年からは、「オーケストラアジア」でも演奏しつつ独立し、名称も正式に『オーラJ(ORA-J、後Aura-J)』と改め、毎回明確なテーマを持った年数回の定期演奏会を行う創造的な演奏団体としての歩みをはじめた。 2000年9月の第5回定期では、6月に三木稔がアメリカで世界初演したオペラ《源氏物語》の要素で基に作曲した、45分を要する尺八・新筝・中国琵琶のTrio Concerto《源氏音楽物語》を中心に、中国の作曲家・演奏家も交え「平安と平成、千年の絆」と名づけた大きな定期が開催された。 ■ その歩みの原点には、1964年に自身が命名して創立された日本音楽集団で、音楽監督として邦楽器の現代化・国際化を20年に亘って推進した三木稔が、尺八:坂田誠山や新筝:木村玲子を含む多くの邦楽器奏者と苦楽を共にしてきた長い歴史がある。 しかし一方、1998年にスタートしたオーラJでは、創造的な演奏団体として、レパートリーや演奏技術で世界の最高水準を目指す三木、坂田、木村たち7~8人と、通称オケアジと言われる「オーケストラアジア」のツアーを優先する大部分の日本人参加メンバーやマネージメントスタッフとの間では、基本的に志が違うことが次第に顕在してきた。 2002年1月の第9回定期「ニューかぐら2002」は、日本舞踊・エアロビクス・コンテンポラリーダンスにフラメンコ舞踊までが登場した極めて好評を得た定期だったが、皮肉なことにその直後、このような定期公演への努力を拒み、聴衆動員に手を貸したくないという後者のグループの要請で、全員で数回の真摯なミーティングを行い、紆余曲折はあったが、結局両者は平和的に別の道を歩むことになった。 ■ こうしてオーラJは、作曲(芸術監督):三木稔、尺八(代表):坂田誠山、尺八:関一郎、筝:木村玲子、藤川いずみ、篠塚綾、松村エリナ、打楽器:若月宣宏、作曲:佐藤容子、事務局:門脇央知というわずか10名が、2002年4月よりオーケストラアジアとは一切関係なく、独自の事務所を設け、アジアの新しい音楽創造を追及しつつ、日本にきちんと軸足を置いて再出発を果たしたのだった。 しかし、オーディションによって各セクションには新しい団員が徐々に加わり、音楽監督を任された作曲の佐藤容子も、相次ぐレベルの高い新作作曲のみならず、責任を持って定期公演のプロデュースで活躍しはじめた。 日中友好30周年に当たる02年6月の第10回定期演奏会では、中国を主とする日本在住のアジア民族楽器奏者に呼びかけて、室内楽規模の質の高いコンサートを企画推進。三木稔は、11月の第11回定期では、「私たちは二度と戦わない」と題する悲願を正面から取り上げ、今井重幸《安寧讃歌》、有馬玲子《琉球筝話》、佐藤容子《Blue Ash》、三木稔《Origin》《黄の鐘・抄》というシリアスな曲目を、かつての交戦国の演奏者同士が手を取り合って、音楽上で訴え、芸術祭参加を試みたが、なぜか参加そのものを却下された。 しかしこの企画は、文明共存を否定するイラク戦争に反対する世間の盛り上がりに数ヶ月先行し、芸術監督の掲げる民族や文化の『共生・共楽』の理想に沿って恒常的に努力するオーラJの先見性・正当性を識者から指摘された。 ★ なお三木は、アジアの民族楽器で最も改良に成功した代表的な楽器として尺八・新筝(にいごと21絃)・中国琵琶・大三弦・馬頭琴を選び、その最高のソリストである坂田誠山・木村玲子・シズカ楊静・費堅蓉・Aバトエルデネで構成する「アジア
アンサンブル」を主宰して発足させ、2002年10月4日「アジア・シルクロード音楽フェスティヴァル」での初公演以来、オーラJの兄弟団体として各地で公演を重ねている。 ■ そして、オーラJの新しい路線「邦楽器による伝説舞台」第1作が生まれた2005年がやってきた。 |
Creative ensemble of Japanese traditional instruments
邦楽創造集団 オーラJ について